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くすんだ真珠
咆哮をあげて襲いかかってきたドラゴン。
でも、それも一時の夢。
鋭い必殺の剣撃と、絶え間ない後方からの魔法の前に、もはや立っているだけで精一杯。
ーー今回も楽勝か。
剣を構える仲間が横に立ち、後ろには強力な魔法の詠唱を始めた仲間。
大したケガもしてないし、三人とも余裕綽々。
ーーさて、そろそろ終わらせますか。
ダガーを構え直し、再びドラゴンを見据える。
すると、指先に温かな光がほとばしり、僅かに負っていた傷が塞がる。
ーー要らないのに。
回復魔法を放ったであろう四人目を見やれば、肩を大きく動かし、息も絶え絶え。
一度も攻撃はいってないはずなのに、その人物が一番体力を消耗している。
ーーそんなに疲れてるなら、わざわざ回復魔法なんてかけなければ良かったのに。
自分を見ている事に気付いたのか、大声を張り上げる。
「バ、バカ!後ろ!」
ん、知ってる。
ドラゴンがこの隙を見逃すはずもなく、襲ってくる事ぐらい。
微笑みを向けながらウィンクすると、一気に跳躍し、ドラゴンの眉間にダガーを突き立てた。
糸が切れた人形のように崩れるドラゴン。
これで、今回のミッションはクリア。
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