人類最強オールフォース

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 ガシャァン! という、何かを強く蹴りつけたような音。それと同時に、ミオの眼前に迫ってくるのは、ラルを閉じ込めた球体牢獄。 「くっ……!」  完全に意表を突かれた攻撃だが、ミオの防御結界はほぼほぼオートで発動可能。ミオがその身に危険を感じた時には、既に結界が現出している。  なので今回も、この攻撃を防ぐことには成功した。目の前数十センチというギリギリのところではあるが、そのあと僅かをことごとく跳ね返してきたからこその絶対防御だ。  しかし、シュートされた自分の結界をまた別の結界で防ぐ、というのは当然だがミオにとって初めての経験である。種類が違うとは言え、同じ術者が発動した結界同士……強度は互角。いやむしろ、咄嗟に出した自衛用結界の方が若干脆いくらいだ。  蹴り出された拘束結界を弾くことには成功したが、防御結界には決して小さくはない罅が入る。シュウの膂力を以てすれば、同じ箇所へ攻撃を加えることで、この防御を打ち崩せるだろう。  無論ミオもバカではない。第二撃が来る前に、罅を修復するか、新たな結界を張り直すかの措置を取ることになる……要は、どちらが先に動けるかの勝負。  結果としては、シュウの方が速かった。  接近する際の助走で勢いづけた飛び蹴り。その右足は、アンチ魔法の性質を持った炎を纏わせて強化されており、脆くなった結界はガラスのように割れたのだ。 「()ったァ!」  結界を突き破りつつも、その勢いが削がれることはなかった。そのままミオに一撃喰らわせれば決着となる。  だが、シュウの体は空中で静止した。複数の光の縄がシュウの四肢を絡め取り、あたかも宙に磔られてしまったかのよう。  そう、ミオはさらにもう一つ罠を仕掛けていたのだ。結界の強度をわざと下げ、代わりに結界内への無許可での侵入を条件に発動する拘束魔法を組み込んでいたのである。 「勝負ありましたね、シュウさん」 「ああ、どうやらそうらしい」 「俺の勝ちだ」  その瞬間、回転しながら天より落下する黄金の剣によって、ミオの左半身に斬撃が走った。
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