2 試合開始

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「ふぅ……」  眩しい。真っ先に感知した感情はそれだった。手に触れている土の感触から察するに、どうやらここは屋外らしい。それも見渡すかぎりの木、木、木。生い茂る葉の隙間から辛うじて漏れ出る日光が視界を確保させてくれる。先程の眩しさはそれのようだ。  自分は今、意外にも冷静だ。  先程は目を覚ましたら知らない場所にいた。体育館のようなその場所で謎の女に殺し合いを強要され、もう一度失神。そして起きたらここ、という訳だ。その「飛ばし」とやらの拍子に記憶や気力を失うこともなく――。 「まあ、潰すか」  思わず口を突いて言葉が出た、それは無自覚か無意識か。結論を考えもせずに静かに立ち上がって歩き出す。  先程からずっと視線の先に居る少女へと目を向けて。
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