2 試合開始

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「なんで? なんでなんで、あんな角度で声かけるわけ? 意味わかんない」 「悪かったって、それは。でも最速でコンタクト取りたかったんだよね」 「それもなんでなの? マジ、納得させてくれなきゃ怒るから」 「はいはい」  森林地帯。木々の生い茂る中でも、少しスペースのある場所に座り込む男女がいた。逢坂秀都(あいさか・しゅうと)と、彼が森の中で見つけた少女、高坂星華(こうさか・せいか)。どことなく違和感を感じつつも、秀都は星華との意思疎通を図ることに成功した。 「まあ、なんでかな。例えば君、自分の特殊能力ってやつ、わかる?」 「いや、全く」 「だよね。俺もまだわかんないし、でもさっき体育館みたいなとこにいたあの女の腕力なんて、普通じゃないでしょ」 「うん。マジ意味わかんない」 「語彙力……」 「は?」 「いや、それでさ。あんなの見せられたら、他人が能力とやらを把握しちゃう前に接触したいじゃん」 「あー……頭いいね、アンタ」 「まあそれと……この荷物? の中身の確認をさ、同時進行したくて」  秀都は、殆ど嘘は言っていない。星華が初めに目に入ったからこそ声をかけたのだし、荷物の確認を同時進行したかったのも本心だ。  それでも、最初に見つけたのが星華ではなく、例えば屈強な体格の男性等であった場合は、声もかけずにやり過ごしただろう。初めに声をかける相手として、最悪の場合を考えた時に肉弾戦になっても難なく制圧可能な存在、というのが、秀都が決めていた条件でもあった。 「まあ……そういう事なら……納得してあげる」 「じゃあ、開けますか。この派手な荷物」 「行動早っ」  ゲームマスターとやらに支給された荷物。それはリュックサックの体を成していて、秀都と星華では色が違っていた。秀都のものは黒、星華のものは青。 「つーかあたしのリュック、クッソ目立つんですけど」 「それは同感」
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