2 試合開始

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「分かった、分かった」  ふぅと小さなため息をつき、秀都は両手をあげてギブアップの意を示す。 「何? 何が分かったの」 「君のことを誤解していた。ここは別行動にしよう」 「は、そう来るんだったら、もうアンタはあたしの敵なんだけど。敵対するんなら殺すよ」 「……とは言ってもさ」  秀都は、この少女の頭脳のレベルにある程度察しを付けている。それは会話の節々から読み取る事も出来たし、今この状況にまで彼女が持っていったことからも判断がつく。 「君は一体、どうやって俺を殺そうって言うんだ?」 「それは……」  体格差、かつお互いに未だ特殊能力とやらを確認できていない。そんな状況下で宣戦布告をかましてくる女の知能など、たかが知れている。最も、それら全てを概算し、勝ち目の有る能力を既に把握している上で演技をされているのなら大したもんだが、生憎「飛ばし」直後から星華の姿を視認出来ていた秀都はその心配はしていなかった。 「分かった、分かったわよ……。で、アンタはこの殺し合いに乗らないっての? じゃあどうするの? 残り三人になるまでどこかで隠れて待ってるって訳? ハッ、ダッサ」 「ははは、それじゃあ本質的に一緒だな。俺は……」  そこで一旦言葉を切って、星華の目を真っ直ぐと見る。  ここまではあえて目を合わせなかった。 「この殺し合い自体を、潰す」  最も重要な一言を、強く深く意識付ける為に。
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