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「ふふふ。とまあ、こういう訳だ」
壇上の女の子が言う。微笑む彼女はとても可愛らしくて、その無邪気な笑顔は思わず見惚れてしまうほど。だが彼は、目を背けた。いや、その場にいた四十一の内のほぼ全ては、正面を視界から外しただろう。
「やだなあ、キミらが言ったんだろう。リアリティに欠けるって。ホント、勝手だよねえ……あはは」
赤い液体の付着したその指を舐めながら、ニコリと笑う。
「まあ、そういう訳だからさ。せいぜいその無価値な命を散らせて頂戴な、ええと、なんだったかな……あ、あれだ! 不幸な実験台諸君!」
不幸な実験台と銘打たれた四十ニ、否四十一の生命体は一様に沈黙。所詮は状況に流されただけの人間達、……だがそれでもその価値観は多様なはず。
時は、十分程前に遡る。
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