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「ふふふ、皆起きてるのかな」
ふと、ステージの上から声がする。視線をやると、桃色の髪を肩まで垂らした女の子が無邪気な笑顔を携えて人々を見下ろしていた。
状況変化の初動を察知した秀都は、壁にもたれながらも話を聴く態勢に移る。
「えーっと、何から説明するのが手っ取り早いかなあ、そういうの聞いとけば良かったな、あはは」
唇に手を当てて、彼女は何かを考えているようだ。
「何か、知っているのなら……教えてほしいのだけれど」
ステージの下、人々の比較的に前方に位置する場所から声が挙がった。それこそ誰もが聞きたかった質問で、秀都が先程何度も浴びせられたものだ。
「そうだね、結論から言っちゃうと……ふふふ、キミ達には……殺し合いをしてもらいます! ってね、あはははは」
「ん?」
「お?」
その発言のみでは、特に空気は変わらなかった。
何故なら未だに人々の頭に浮かんでいるのはクエスチョンマークのみで、かくいう秀都も言葉の意味を汲み取りかねていた。何かの比喩表現だろうと、大方の目星を付けるくらいの判断しか出来ない。
「すみません、一体……」
今度は秀都の隣から声が投げられる。先程のスーツ姿の男だ。
「まあまあ、質問とかは後で聞くからさ。とりあえずを話させてよ! ね、ふふふ」
「そう、ですね……。では清聴することにします」
「ふふふ、素直な子は好きだよ、私」
また無邪気で無防備な笑顔を振りまいて、彼女は笑う。誰もが現状の説明を求めている。場が自然と静かになっていくのを感じていた。
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