第2章 海からの風

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西湘バイパスを大磯港で下りて港近くの駐車 場に車を入れた。釣り客でもいるのか、他に も何台か車が止まっていた。 美奈子は海岸へ出た。夏は海水浴場になる この海岸も秋の夜は静かに潮が満ちてくる。 強かった風は弱まり、波音に混じって虫の 音が心地よく聞こえる。あの鳴き声は コオロギか。 相手は本多くん。子どもは産む。 時折祥子の言葉がフラッシュバックして 虫唾が走る。言い様のない気色悪さにも 襲われる。それでも美奈子は空腹を感じた。
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