第3章 砂の城

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翌朝、美奈子はいつもどおりに出勤した。 「おはようございます。」 リビングで新聞を読んでいた倉澤香織に挨拶 すると、香織は視線を上げた。 「おはよう。」 と答えたが、香織は目の下に濃いクマの 出来ている美奈子に驚いて、読んでいた 新聞をテーブルの上に置いた。 「どうしたの、その顔。そのパンツスーツに 似合わないわよ。昨夜寝てないの?」 「…はい。眠れませんでした。親友に男を 寝取られたんです。その上子どもまで 出来て、産むって言ってます。」 隠すこともあるまいと美奈子は自分の身に
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