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考えたくない。」
「源氏物語を読みなさい。」
「時々彼女の言葉がフラッシュバック
するんです。その度に虫唾が走って吐き気を
催すのに、わたし、それでもおなかが空く
んです。普通にご飯が食べられるんです。」
「健康な証拠よ。あなた、いい根性してる。」
「自分でもそう思います。」
「電話に出なくていいから、四時間
寝なさい。薬を飲んででも寝なさい。」
「はい。」
美奈子は頷いた。
「後のことはそれから。」
「もう決めてます。」
「何を?」
「いつか、事の顛末を小説に書いて
やります。」
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