第3章 砂の城

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考えたくない。」 「源氏物語を読みなさい。」 「時々彼女の言葉がフラッシュバック するんです。その度に虫唾が走って吐き気を 催すのに、わたし、それでもおなかが空く んです。普通にご飯が食べられるんです。」 「健康な証拠よ。あなた、いい根性してる。」 「自分でもそう思います。」 「電話に出なくていいから、四時間 寝なさい。薬を飲んででも寝なさい。」 「はい。」 美奈子は頷いた。 「後のことはそれから。」 「もう決めてます。」 「何を?」 「いつか、事の顛末を小説に書いて やります。」
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