第1章
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「ああ、この麦わら帽子の持ち主はお嬢さんなんですね。よく使い込まれていたので捨てられなかったんですよ。ええ、まだありますとも。ぜひ取りにいらしてください」 水族館の職員の優しさに感謝しながら、拾得物案内の看板を探す。 名津が涙を流して職員のおじさんから麦わら帽子を受け取った。 「…君たち」 帽子を目深にかぶった男に声を掛けられた。 職員のおじさんが少し緊張した。
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