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「驚いた?」
ずっと私の横に立っていた船橋さんが
私の表情の変化に気づいたのか、声をかけてきた。
「ええ、正直かなり…普段挨拶しても軽い返事しかしてくれない方だったので、こういうインタビュー系はほとんど千裕さんが話してるんじゃないかと思ってました」
「まあ普段の様子を見てたら、そう思うよね。でも、これがプロだよ」
「え…?」
「あの3人はアイドルだからね。それぞれカメラの向こうの人達が何を自分たちに求めているかをしっかり把握してなければいけない。
彰は可愛くて元気のある、いわゆる弟キャラ。
千裕は2人のお兄さんキャラ。
そして雄介が、オテンバな次男キャラ。
わかりやすく言うと、あの3人を見てるファンたちは3人を兄弟のような目線で見てる。それを3人はしっかりわかってるんだ。
幼馴染という事実を通して、ファンたちは3人のキャラを見てる。アイドルってのはそういうものなんだ」
「へぇ…大変なんですね、アイドルって」
「そうだよー、大変だよー。でも、それができなきゃプロじゃない」
船橋さんが3人をまっすぐ見ながら力強く呟いた。
本当にキャラなのかな…?
そんな作り物の自分、しんどいだけで…何年も続けられないと思うけど。
■
インタビューが終わり、次の仕事まで時間が余った私たちは少し早い昼食を取る事にした。
「……何?」
「え!や…別に…」
食事の間中、さっきとの表情の違いが気になったのか
私はどうやらずっと雄介さんを見ていたようだ。
カメラの前ではあんなに笑顔だったのに、今のこの仏頂面はなんだろう…。
「愛莉ちゃん、さっきから雄介の事ばっか見てるね」
「見てませんよ!」」
「無理もないよ。さっきの雄介と、今の雄介じゃ態度違いすぎるもんな」
「そうだよね。僕もいつも驚かされてるよ」
周りにどんだけ茶化されても
雄介さんは最後まで表情を崩さなかった。
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