第4話―決意の中―

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「ドラマの主演?」 「ぇえ。知り合いの監督からね、イメージにぴったりって事で私に話があったの。どう?受けてみない?」 その日、社長こと叔母さんから一本の電話が私に入った。 数々の高視聴率ドラマを作ってきた有名な監督からのオファーらしい。 もちろん、断る理由はない。 「わかりました、本人に確認取り改めてご連絡致します」 今まで3人は映画やドラマ等、俳優路線を試した事がないと 以前船橋さんに聞いた。 このドラマで俳優として名をあげれば、3人の人気はもっと上がるに違いない。 私はウキウキしながらオファーのあった人物のもとに電話を入れる。 「お疲れ様です、雄介さん」 「何」 「今日、レコーディングの前少し時間いただけますか?」 「用なら電話で済ませて」 「直接お話したいので、時間作って下さい」 「…わかった」 あれから 雄介さんは以前にも増して私への態度が悪くなった。 私自身も、雄介さんだけでなく3人に対して仕事以外の会話をする事がなくなった。 千裕さんはそんな私に気を遣って優しくしてくれるけど、もちろんそんな優しさも信用できない私はそれを無視してる。 でも、これでいい。 今の私は、3人を日本、いや世界に名を轟かせるアイドルにする事で頭がいっぱいなんだ。 だからこれでいい。 胸が痛くても、過去のあの男の子の事が頭に過ぎっても …これでいい。  ■ 「ドラマ?」 「ええ、ぜひ出てみましょうよ!」 「興味ない」 「え、なんで?出なよ雄介!」 「そうだよ、あの清水監督だよ!?出るべきだって!」 2人に散々押されても全く興味を示さない。 座ってる雄介さんの前に仁王立ちし、睨みながら見下ろす。 「人をだませるぐらいお芝居が上手なようですし、やったらどうなんですか?その才能有効活用してくださいよ」 「あんたも大概しつこいな。しつこい女はモテねぇよ」 「あのねぇ!」 「まぁまぁ愛莉ちゃん、落ち着いて!雄介も煽るような事言うなよ!ったく…リーダー命令だ、このドラマのオファーは受けろ。今後の為に絶対なる、いいな?」 「チッ…わかったよ」
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