第1話―それは突然に―

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「おはようございます」 「あ、来たわね愛莉ちゃん。ちょっとそこ座って待っててくれる?仕事の説明するから」 「わかった」 翌日。 約束通り9時に社長室へ入った私は、ほんの少し緊張していた。 この会社に入社するはいいけど、私何をするんだろう? 叔母さんの手伝い?秘書的な事をやるの?それともAD?いやでも機材の事とかよくわからないし… 「失礼します」 「ああ、来たわね。入って」 そんな事をごちゃごちゃ考えていると、社長室のドアが開く。 入ってきた人物 その人たちを見て私は目を見開いた。 「失礼します」 「ちょ、え…?お、おば、おばさ…」 混乱している私をよそに、叔母さんはどんどん話を進めていく。 「愛莉ちゃん、紹介するわね。こちらFoolish Heroの3人と、現マネージャーの船橋よ」 「あ、えと…はじめまして…」 「どうも」 簡単に挨拶を済ませてからも、私の頭の中は混乱していた。 なんで… なんで、今人気絶頂中のアイドルがここに!?!? Foolish Heroは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで人気があるアイドル3人組。 今までこの事務所は、俳優業やアーティスト育成に力を入れてきた中で、このグループは最初にアイドル路線を取り入れたグループ… 芸能情報に無知な私でさえ知ってるほどの大物アイドル! 「4人とも、つったってないで座ってちょうだいな。まだ船橋にしか伝えてないから今みんな何がなんだかわからない状態よね。なので、私から説明させてもらうわ。いい?船橋」 「ええ、構いません」 「ありがとう。実は彼、今月いっぱいでこの会社を退社するの。船橋の奥さん今妊娠中でね、できるだけ傍についていたいとの事よ。そのためには、不規則な生活になってしまう芸能界からは離れたいと、私に相談があったわけ。でも急にあなた達のマネージャー務まる人なんてそうそういるわけもないでしょ?そこで…」 叔母は私に近づき、肩を抱いて満面の笑みで話を続ける。 「次のFoolish Heroのマネージャーを、可愛い姪っ子にしてもらおうと思って集まってもらいましたっ!」 「は……はぁぁぁぁぁあああ!?」
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