第1話―それは突然に―

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「そういえば3人の紹介まだだったよね。さすがに知ってるとは思うけど」 「ぇえ、まあ…有名人ですからね」 「でもこれから深い付き合いになってくだろうから、挨拶ちゃんとしないとね。3人とも、軽く自己紹介したら?」 「そうですね。俺は坂崎千裕、Foolish Heroのリーダーです。歳は愛莉ちゃんの一つ上。よろしくね。で、このちっちゃいのが高坂彰。その横の仏頂面が斎藤雄介。この二人は愛莉ちゃんと同い年だから、仲良くしてやって」 「よろしくねー」 「どうも」 「はい、よろしくお願いします」 改めて3人を間近で見て 芸能人なんだな、と思わされた。 3人とも特徴は違えど、整った顔であるのは間違いない。 ただ顔が綺麗なだけの人は都会じゃゴロゴロいるけど、この3人はそれだけじゃない何かを持ってる気がする。 いわゆる…オーラというやつだろうか? そうやってじっと3人を見ていると、船橋さんが軽く笑った。 「やっぱ愛莉さんでも見惚れちゃう?こんな男前が並んでると」 「え!?あー…まぁ、そうですね」 「…愛莉さん、大丈夫だろうけどマスコミには気を付けるんだよ。マネージャーと言えど、近い存在って気づいたら奴らは見逃さないからね。ましてや3人は売れに売れてる人気アイドルだ。常にアンテナ張ってるだろうから」 「は、はい!」 一瞬、船橋さんの雰囲気が変わった。 そうだ…アイドルにとって恋愛はご法度。叔母さんの話じゃこの事務所は恋愛禁止ではないらしい。 でもこの3人は…女性がターゲットで、たくさんのファンの女の子達が恋人であり続けなければいけない人達。 歳の近い私が、仕事以外で容易に近づける存在じゃない。 肝に命じておかなきゃいけない事。船橋さんの凄んだ空気は、そういう事だろう。 「船橋ちゃん相変わらず固いなぁ~社長はいいって言ってんだからそんなにこだわらなくてよくない?」 「彰くん…これまでは僕だったからいいけど、愛莉さんになってからはその女癖の悪さなんとかしてよ。僕がどれだけ火消しに走らされたと思ってんの。いい?君一人の問題じゃないんだからしっかりしてよ」 「はーい、わかってまぁーす」
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