採掘屋とニューエデン

10/18
前へ
/18ページ
次へ
特化型採掘艦ハルク。採掘艦コベトアーの上位互換版である。ストリップマイナーを3つ搭載可能、射程も長く採掘力と言う面で見れば間違いなく採掘艦の中でもトップだ。しかし、弱点もある。それはカーゴの狭さだ。明らかに採掘力に対してカーゴの容量が釣り合っていないのだ。レトリーバーのカーゴを満タンにするのに小一時間かかるならば、ハルクだと10分も要らない。勿論、同じ量が掘れているわけでもない。コベトアー・ハルク共に採掘力に特化している採掘艦は、その採掘力をカーゴ容量を犠牲にして得ていると言っても過言ではない。カーゴが満タンになる度に宇宙ステーションに戻っていては手間がかかる。そこで私が行ったのが輸送艦での回収だ。カーゴが満タンになったら、コンテナに詰めて宇宙に放り出すのだ。それを輸送艦で回収するという手順だ。採掘艦のライセンスと平行して輸送関係のライセンスも取得しようとしていたあたしは、マインと共に採掘する頃にはガレンテ製超大型輸送艦オベリスクに乗れるようになっていた。マインが採掘が終わったと報告してきたので、あたしはステーションに戻ると隣にドックしてある超大型輸送艦オベリスクに乗り込む。後は宙に浮かぶ大量のコンテナを回収するだけ。おまけにBDF社には採掘支援が出ている。そのお陰で小一時間かかるレトリーバーのカーゴ満タンまでの時間が20分かそこらで終わるようになった。採掘に関しては、あたしは本当に恵まれた環境に居ると言って良いだろう。しかし、採掘艦から超大型輸送艦に乗り換えてってのは正直面倒だった。 「おつかれ。いつも回収ありがとう。」 「お疲れ様。あたしが輸送艦乗れるからやってるだけだよ。分け前は?」 「いつも通りで。」 「わかった。あ、そだ。社長今いる?」 「さっき帰ってきた。話があるなら今のうちにしときな。またすぐ出ていくだろうから。」 「わかった、ありがとう。」  ここに来て変わった事が幾つもある。まずひとつは収入が段違いに増えたことだ。前はレトリーバーのカーゴを満タンにするのに小一時間かかった。鉱石の種類にもよるが、だいたい400万iskだ。それが今は二人がかりとは言え4時間くらいでアステロイドベルトを掘りきるくらいにはなっている。量を値段で表すなら1億iskだ。時給換算で2500万。五倍以上の収入となったのだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加