採掘屋とニューエデン

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 カルダリ連合。数多の企業によって支配される国家だ。株式資本主義を純粋な形で体現している国、それがカルダリ。 カルダリは、社会の全てを操作する巨大企業によって運営され、全ての国土と不動産は企業が所有し市民にリースしていて、政府と警察機構も独立した企業によって営まれている。この国には、“カーラキオタ”、 “スクーベスタ”、 “ノゴエハヴィ”、“イシュコネ”、 “ウィルコミ”、“ ヒャショーダ”、“CBD”、“ライダイ”の「8大企業」が存在しており、これら巨大企業は、数千にも及ぶ大小様々な企業の集合体になる。カルダリには、統合された「政府」という機関がなく、これら8大企業が、お互いのテリトリーを侵さないように、それらがまるで王国であるかのように統治している。他国への外交政策などといった高度なものに対しては、8大企業それぞれのCEOらによる指導者会議が最高意思決定機関となっている。一見企業が強大な権力を持ちすぎているようにも思えるが、企業ですら、基本的なカルダリの慣習と法に制約されており、企業による熾烈な市場競争が絶え間なく続いているため、消費者を基準にした社会環境が保証されているとも言える。カルダリは、アマーやガレンテと比べると小国だが、強大な経済力と軍事力はそれらの大国に匹敵し、様々な技術面においても、決して大国に劣っていない。そしてカルダリ人には、故郷である「カルダリプライム」をガレンテの攻撃によって明け渡したという歴史があり、今日ではガレンテを憎き敵としていることも、カルダリを語るうえでは欠かせない。自分自身がガレンテ生まれであることも含めて。カルダリの市民は、仕事をし、法や慣習を遵守している限り、それなりに生産的で快適な人生を送れるだろう。しかしカルダリの環境は、逆にこの厳しい規律や社会体制に適合できなければ、地位、家族、また人々から得た尊敬も全て失って、追放もしくは自殺に追い込まれるような厳しい環境でもある。ただし、これら厳格な規律というものによって、彼らが他種族を排除しているというわけでない。カルダリ人は、自分たちの生活スタイルを非常に大切にしており、その規律を守れるのであれば、例え他種族の人であっても寛容に接してくれる。現にガレンテ生まれのあたしも今はカルダリで生活しているのだから。
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