採掘屋とニューエデン

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そして、現代では衰退してきているが、部族社会には 厳しい側面もあり、今でも厳格な階級制度や、労働者の小作人制度などが存在している。また各部族は必ずサブクランを内包しており、さらにその下に地理的な条件や職種によって分けられるサブクランが 存在している。それぞれの部族には部族長がおり、大統領や知事のような職務を務めている。しかし部族外に出たとたん、その地位や権威などはほとんど意味を持たなくなる。 このクラン構造はミンマターの強みである一方で、最大の弱点となっているのだ。  そして、四大国を語る上で外せないのがもう1つの国、ジョビだ。ハイテクノロジーを有する、謎に包まれた人種 ニューエデンに存在する人類の中で、最も謎に包まれている人種。ジョビ人の人口は、他の国に比べると圧倒的に少ないものの、ジョビのもつその卓越したテクノロジーによって、技術的な優位性を保ち続けている。ジョビは人類だが、他の種族から見ると、人類には見えないかもしれない。なぜなら彼らジョビ人が、人類という種を 苦しめてきた問題を解決するため、何千年も前から、自らに技術が許す限りの遺伝的な改良を施してきたからだ。遺伝的改良を続けていくうちに、やがてジョビ人は自分たちが全能であると信じ始めるようになり、 ますます自分たちの肉体と精神に、奇妙な変化を与え続けていった。しかし、その絶え間ない変化によって、その後ジョビ人は数世代に渡り自分たちのコントロールを失ってしまうことになる。ジョビ人は、自分たちの攻撃性や性的本能を制限し、その代わりに新しい奇妙なものを植え付けていった。つまりジョビ人は、人間の基本的な本能に干渉し始めたのである。「覆われた日々」と呼ばれているその時以来、ジョビ人は一時的に衰退することなり、彼らはそれを修復しようと試みたが、既に彼らのDNA構造は、度重なる遺伝的改良によって取り返しのつかない損傷を受けており、結果「ジョビ病」と呼ばれる病に犯されてしまう。しかし、そんな悲惨な状況にも関わらず、彼らはわずか数世紀ほどでハイテク社会を取り戻し、その後9000年も存続する帝国を作り上げた。ただ、その卓越した技術のアドバンテージを持っても、かつての輝きを取り戻すには至ってはいない。彼らの体内に残存する「ジョビ病」が、彼らを生命維持スーツの中へ閉じ込め、繁栄に要するための人口を増やせずにいるからだ。
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