採掘屋とニューエデン

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勿論、最初から採掘船用の採掘艦に乗っていた訳ではない。採掘用フリゲート(駆逐艦よりも小型の艦種だ)で採掘の基礎を学び、採掘機の扱い方を覚え、鉱石の成分を学ぶために宇宙地質学を研究し、更には採掘艦へ採掘強化モジュールを搭載する為に機械についても勉強した。結果、採掘艦レトリーバーに乗れる様になり、採掘屋として本格的に活動をし始めた。この頃はガレンテ連邦のコースター星系と言う場所で掘ってたっけ。  正直、採掘屋は楽だった。手頃なアステロイドベルトへと移動し、浮かんでいる鉱石をロックオン。後は採掘機(採掘艦はストリップマイナーと呼ばれる専用の採掘機を使用しているが)のスイッチを入れるだけ。暫くすれば鉱石が堀終わるから、次の鉱石をロックして、以下繰り返し。特にレトリーバーはストリップマイナーを二機搭載可能で、更に採掘艦のなかでもカーゴ容量が大きいので、長時間採掘出来るのが強味だ。小一時間もあればレトリーバーのカーゴは満タンになる。そこまでくれば宇宙ステーションに戻ってマーケットで売り出すだけ。ドディクシーと言う星系がガレンテ連邦1の商業地なのだが、ここで売り出すのが恐らく利益も出ただろう。基本的に売買が盛んな所の方が値段は高値になりやすいし安定もしているからだ。ニューエデンの市場経済は常に変動相場だ。日によって売れる値段が違う。それは、この市場を支えるオーダー制にある。  オーダー制、一般的な売買は売値が基本で行われる。どの製品をどんな値段で売り出すか、だ。このレトリーバーで例えよう。基本的にこのレトリーバーは2000万isk(iskはニューエデン共通の通貨だ。どの国でも使われている。便利なもんだ。)で売り出されている。しかし、少しでも安く買いたいと思うのが買取り側の心情だ。そこで、オーダー制が使われる。売り出されている金額に納得できないときや、そもそも市場に製品がない時に使われる。
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