縁線めぐる物語

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「さて、次はどこに行こうか」 すっかり神社とお寺廻りにハマった僕は今やただの観光客だ、駅までの道も、ありふれた古民家も、松の木も観ているだけで不思議と楽しい。 ふと店舗の時計が目に入ると、12時になろうとしていた。 そう言えばお腹が減ってきた、あのブタまんは、全く食べた気がしなかったから。 どうせなら磯の物が食べたい、港でも眺めながら。 出発を待っていた浦賀行きの電車に乗り込み、次の目的地をスマホで吟味しながら発進を待つ、行き当たりばったりの旅も一人なら気兼ね無く楽しめる。 列車の出発を知らせるベルが鳴る。 「ドアが閉まりますご注意下さい」 ふと、プラットフォームに目がいった。 ゆっくりと動き始めた車両を見つめ残念そうに表情にだす、白いワンピースがとても良く似合う女性がそこにいた、そしてすぐハッとした表情を僕に見せた。 白いワンピースを着たその女性が、あの彼女だとすぐに分かった。 彼女もまたすぐに僕に気づき、この妙な偶然を不思議に思っているのだ。 僕達は電車が進む短い間、不自然なくらい長いこと見つめ合った。
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