第四章

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この後はどうする、と声をかけようとして、その隙間に廊下の端にいるはずの護衛の男が困惑した様子で来客を告げに来た。 ヨシュアは慎重に言い返す。 「ファウスト王から、誰も通すなと厳命されているはずですが」 「はい、承知しています。ですが、見知った顔でしたので、一応、報告だけでもするべきかと思いまして」 不審に思いながらもヨシュアが廊下の先に目をやると、何やら手を振っている人物がいる。 「どうして……」 信じられない気分で呆然としながらも、すぐに追い返してもらうべきだと判断したヨシュアだったが、それよりもティアラが駆け出す方が早かった。 「レイネ!」 アスラ王とは違う意味で驚異を感じたヨシュアは、堅く目を閉じ、心を静めてから後を追った。       * * * 「どうしてここに!?」 ティアラに飛びつかれて熱烈に歓迎されたレイネは、驚きながらも嬉しそうに答える。 「いきなりごめんね。本当は、滞在先のお屋敷を訪ねる予定にしてたんだけど、早耳でお城に泊まったって聞いたから。私、もうすぐシンドリーに戻る予定で、その前に一度オーヴェのお城を見てみたかったからついでにね」 とても気楽についでと表現できる行動じゃないのだが、生まれた時からお城住まいのティアラなので、その辺りは気にしなかった。 「レイネ、どうやって入ったの?」 「ちょっと、友人に無理言って」 振り返るレイネの視線の先には、令嬢らしき女の子がそわそわと落ち着きなさげに身を小さくしている。 レイネの服装が地味なので、彼女の使用人とでも偽って入ってきたのかもしれない。
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