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「あんまり待たせると悪いから、すぐ帰らないと。また手紙書くね」
軽い立ち話をして、後は遅れて合流してくる、ため息でもついていそうな足取りの従兄にしっかりやりなさいと活を入れて当分の別れの挨拶にしてやろうとレイネは考えていた。
けれど、合流がなされる前にティアラがぎゅっと手を掴んでくる。
「お願い、レイネ」
「?」
しかし、ティアラのお願いを聞く前にヨシュアがやってきたので、話は一旦棚上げになった。
「レイネは神出鬼没だな」
腕を組み、眉間にしわを寄せ、いかにも迷惑げなヨシュアがそこに立っている。
けれど、物心ついた頃からごく最近までずっと恋をしていたレイネが騙されるわけがなかった。
「ヨシュア、どうかしたの?」
訝しむレイネに見つめられ、ヨシュアはそうなるだろうなと色々諦めた。
ファウストやヘルマンならまだしも、天敵であり、いくら邪険に扱ってもお節介でめげずに忠告してくるような物好きの従妹は、数少ない誤魔化しが利かない一人だった。
「レイネには関係ない事だから気にするな」
ヨシュアは、おもいっきり外面で一蹴した。
そんなやり取りを見ているティアラは、不安そうにレイネの裾を掴んでいる。
本当に余計なお世話ばかりしてくれる従妹だ。
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