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かすかに誰かが身じろぎをする気配がして、ほっとしたティアラは取っ手から手を離して、物影の寝台に目を向ける。
夜目の利くティアラは、これくらいの暗さなどものともしない。
「ヨシュア」
もう一度呼びかけて、一歩を踏み出して、雪雲の切れ間から差し込んだ月明かりが浮かび上がらせたのは、ヨシュアではない輪郭だった。
「姫巫女様」
と、呼ばれ、最初に思ったのは部屋を間違えたという恥ずかしさだった。
けれど、そこにいる少女が優しく目を向けた先をつられて追った時は、何を思えばいいのかわからなかった。
何もわからなくて、真っ暗で、ただ一つ、ここにいてはいけないという本能的確信に従って部屋を出た。
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