第四章

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      * * * 「……それって、誰の話?」 答えは聞いてみるまでもなく、もちろんヨシュアに決まっている。 ヨシュアの様子がおかしいと気付いて指摘したのはレイネであり、ティアラに何か心当たりはないかと質問したのもレイネなのだから。 それなのに、どうしても確認しないではいられなかったのだ。 昨夜、ティアラが嫌な予感に突き動かされて部屋に様子を見に行ったら、女の子と手を繋いでぐっすりと眠りこけていたヨシュアがいたと言う。 どこを切り取っても、ありえなさしか存在していない。 「もしかしたら、具合が悪いヨシュアを看病してくれてただけかもなんだけど……」 レイネが真実のありかを探してじっとティアラを見つめていたら、もごもごとフォローとも言い訳ともしれない事をつぶやいて尻切れとんぼになる。 「あのね、そんなわけないでしょ。そもそも、ヨシュアが本当に具合の悪い時に女の子と二人きりなんかになるわけがないんだから」 どきっぱりと否定されたティアラは、必要以上にしゅんとした。 「それより、ティアラ。ティアラはどうして怒らないの。これって浮気よ。たとえ何か事情があったにせよ、そういう状況に陥ったまぬけさに怒り狂って責め立てる権利がティアラにはあるのよ」 穏健な王族の家庭で育ったお姫様なので、お節介焼きのレイネはこういう場合の気持ちの対処方を知らないのではないかと心配していた。 しかし、しょんぼり風情のティアラは上目遣いに見返しながら、小さく首を振って違うと言い訳した。
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