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「私……とヨシュアは、普通の婚約関係とは違うから」
「知ってるわ。事情があって、お互いに好んでしたわけじゃないのでしょう。でも、だから何? それでも、あの女嫌いのヨシュアが今日までそれを許していたのよ」
ティアラは無言で俯いた。
そんな萎れたティアラを前に、レイネはもっと自信を持っていいんだと伝えようとして、しかし、一呼吸の間に気を変えた。
いくら長年ヨシュアを見てきたレイネに映るものがあったとしても、それが本当にはティアラの支えになるとは思えなかったし、断ち切った初恋相手にそこまで世話を焼くのが馬鹿らしくなったからでもあった。
「じゃあ――」
と、別の言葉を紡ぎだしたのは、へたれな元想い人の為なんかではなく、友人になった愛らしいお姫様の為だった。
「じゃあ、ティアラはヨシュアと別れる覚悟はあるの?」
今度もティアラの返事はなかった。
けれど、顔を上げさせる事には成功した。
「どうなの、ティアラ」
「それは、だって、最初からいつかは別れる前提の話だったから」
「だったら、外面のヨシュアだけ見てればいいのよ」
レイネが冷たく言い放った言葉に、ティアラは表情を強張らせた。
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