練乳

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ボクは思わず、足を止めた。 でないと、彼に激突してしまう。 幾度なく失敗をして、いつも笑われるから。 この笑顔は、何か怪しげな事を企んでいる。 「【練乳】、か。せっかくのリクエスト、使ってやるか。たまには趣向を変えるのも悪くない」 ボクはぎょっとして、彼の顔をマジマジと見つめるしかなかった。 約束通り帰宅の最中、彼といつものスーパーに寄った。 僕は仲間に頼まれたモノを購入したけれど、彼は。 【練乳】と【苺】、それから大好物の【水飴】と【サイダー】も買って。 彼は、車の運転をするのが大好き。 だからボクを迎えにくる時は、いつも自動車で。 いつもより安全運転だけれど、早いルートで自宅に着いた。 その素早さに、仲間も驚いたくらい。 仲間に頼まれたモノを手渡していると、イライラしながらボクを急かしす。 そんな様子も、仲間は驚いていたり、ニヤニヤと笑っていたり。 中でも、寮長でもあるヒトは含み笑いをして。 「楽しみにしてるわ」 なんて、言葉を落とした。
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