練乳

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お姉ちゃんのにあげていた【苺】の一粒が視界に入ると。 一瞬だけ、ボクから離れ。 【苺】の中でも小さなモノを、【練乳】と僕の愛液のついた長い指で持ち上げ。 ボクの口に、移す。 【練乳】の白さが、ゆっくりと【苺】の赤に染まって。 ボクの口内だけじゃない。 脳内へと、色を紅に注いでいく。 甘く痺れる刺激が、ボクの体に一筋の光を貫き。 ボクの、【練乳】が。 彼の世界に注がれた。 彼は満足そうに微笑んで、ボクをより一層、優しく抱きしめる。 ボクはホッとして、彼の胸に意識を預けた。 本当に甘いのはボクなのか、彼なのか。 分からない。 けれど、今はとても幸せだ。
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