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――しかしそのすね毛は剃られる時がきた。
ハイヒールすね毛が、男爵の意味不明な発言に返答しようと思った瞬間、それは起きたのだ。
『ドガァアアアアアアッ、ブォォッ……ヒュィーン』
A10サンダーボルトⅡによるアベンジャーの掃射で、ハイヒールすね毛のすね毛がぶっ飛んだ……太腿ごと。その一撃は、まさに稲妻だった。かわす間もなく吹き荒れた一閃、彼のすね毛をその根元から引き裂くように刈り上げたのだ。理想的な軌跡で描かれたそれは、彼の柔肌ひとつ傷つけることなく、その目的を完遂した。
彼は思う。すねは無傷だが、太腿は無事ではなかったと……。
太腿は宙を舞った。太腿の切断面はあんなにも血で汚れているのに、すねだけは綺麗なままだったから、空飛ぶソレを見た人々は、映画で使う出来の悪い小道具か何かかと勘違いした。
すげぇ、と周りから歓声が飛び……あちこちからおひねりが投げ込まれる。
そして、男爵は思った――奴が現れた、と。
「『グレートモチモチファイター』か、殺気が丸出しだぞ」
しかし……丸出しなのは、殺気だけではなかっ……た。
奴の恐ろしさは山芋もかくやとう粘り強さ……!
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