勇者が喚ばれました。

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「剛也ー!一緒に帰ろう!」 「やだ」 「そんなこと言わないでさー、一人じゃ寂しいだろ?」 「寂しくない」 学校からの帰り道、一人で帰る俺こと不動剛也(ふどうこうや)は、後ろから早足で俺に近付いてくる天崎渡(あまざきわたる)の一緒に帰ろうの言葉にノーの即答で返したのだが、それで諦める男ではないと小学から何かとこの男に付き合わされている俺が一番知っていたが、それでも俺ははっきりと答える。 何故なら…… 「渡くーん、そんな奴より私と帰りましょ!」 「何言ってんだよ!渡はアタシと帰るんだよ!」 「違う。渡はボクと帰る。」 渡の後ろにギャーギャー喧しく、自分が渡と帰るんだと騒ぎ立てる女達……俗に言うビッチ達が居るからだ。 渡は容姿淡麗に成績上位、スポーツ万能という恵まれた人間だからこんな奴が女にモテない訳がなく、渡の周りには必ず女が存在するのが渡の日常であって、色んな女達が渡に近付いては少しでも好意を持って貰おうとしているが、その女達には二つの共通点がある。 一つは自分勝手で渡に近付く自分以外の女には容赦がないこと。もう一つは…… 「皆喧嘩は駄目だよ!それに僕は今剛也と帰りたいんだ。」 「渡君、私と帰るのが嫌なの…?」 「そういうわけじゃないよ。剛也と皆で帰ろうと思っているんだ。」 「えぇーっ!こんな奴と一緒かよー!」 「そんなこと言わないでさ、剛也と皆が仲良くなるためにもね。」 「必要ない。渡と一緒に帰れれば後はどうでもいい。」 「そんな……。」 渡が何かと声をかけたり一緒に行動しようと誘ってくるので俺に嫉妬と嫌悪感を抱いてる事だ。 現に今も俺に敵意の目を向けている。 「そんな目をしないで。ね?皆仲良くしようよ…。」 女達を宥めている渡を無視して俺はさっさと家に帰ることにした。 「あっ!待ってよ剛……」 先に進む俺に気付いた渡が俺に近付いて俺の右腕を掴む。 「んだよ、離せよ!……って、なにやってんだお前。」 掴まれた腕を振り払って駆け足で帰ろうとした俺だったが、渡が何時もと違う雰囲気を出して夕方の暗い路地裏の方をジーッと凝視していることに気付いた俺は不覚にも声をかけてしまった。 「……声が、聞こえる。」 「はっ?」 そうボソッと呟いた渡に俺はすっとんきょうな声を出してしまう。 コイツ、いきなり何言い出すんだ?
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