君の面影が消えるまで。

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「先生。」 ―――その声は、まだ何処かにあどけなさが残った感じで。 だけど、高校生にしちゃあ、落ち着いた……声。 「……おう、水城。遅かったなぁ。」 「あ、はい。ちょっと部活で遅くなって……。」 「へぇ、お前部活やってんだ。何部なんだ?」 「……サッカーですよ。…ってか、前この話しませんでしたか?」 「……ん?そうだったか?悪い、そんな覚えてない。」 「……まぁ、仕方ないですよね。今日、覚えてもらえれば…それでいいです。」 「あぁ、うん。覚えた。水城はサッカー部っと……ほら、もう少しで時間だから席ついて待ってろ。」 「はい。」 ―――前までは少し話すだけであったし、……正直、俺の中で《水城湊》という認識というよりも、優希先輩に似ている、その条件がただ付いただけの生徒が水城湊だった。 だけど、今は……明らかに違う。 俺は、あの送って行った日からしっかりと水城湊として認識する様になったのだ。 「はい、じゃあ今日の内容始めます。テキスト35ページ開いて下さい……」
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