敵は、忘れた頃にやってくる。

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―――そんな事を大倉さんがしていたなんて……全く知らなかった。 確かに、その頃から勉とはあまり話す機会が減った様な気がする。 「バレてたんだよな、あの人には。全部。……敵わないって思った。…………だけどな、優希。」 そう言って、勉は更に俺の方へと近付いてくる。 ―――俺は、少しずつ……逃げ場所が無くなっていく。 「あの日……俺は自由だったんだ。お前の唇を奪うなんて…………簡単だったんだよ。」 これ以上、此処に居てはならない。頭では分かっているのに……いざとなって動かない俺の身体。 「……なぁ、優希。何であんな奴に心奪われたの?俺はさ、お前のこと……ずっと近くで見てきて、ずっと好きだったのに。」 「つ、…勉……冗談もいい加減に……」 すると、勉は見たこともないぐらいに怒った顔を見せて……俺の腕を壁に押し付けた。 「……冗談でこんな事言うかよ。さぁ、どうする?此処には……大好きな大倉さんは来ないよ。」 近付く唇。腕は、ビクともしないぐらいに押さえつけられている。
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