敵は、忘れた頃にやってくる。

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―――動け、俺の身体。大倉さんだけに頼るのは、男として情けないだろ。俺。 そして、何とか自由になった足で……俺は勉のモノを思いっきり潰しにかかった。 「……いっ……!」 勉は、俺が反撃してくるなんて思ってもみなかったのだろう。 ―――近付いていた唇は、俺の攻撃によって離れていた。 それと同時に、勉が掴んでいた手の拘束も緩められた。 そして、俺は瞬時に勉との距離を精一杯とった。 「……勉。残念だけど、俺は勉の気持ちには答えられない。……俺が好きなのは、大倉さんだけだから。……前は、酔い潰れてて不可抗力だったけど、2度も俺の唇なんかくれてやんねぇよ。」 「それと、……俺は、勉とは仲良くしたい。友達として……。」 「……優希……。」 「なぁ、どうする?……勉。勉は、今までの関係じゃ不満足?」 俺だって、大学時代から仲良くしていたのだ。……そんなに簡単に関係を絶つ様な仲ではない。 ―――そう思う俺は、大倉さん曰く……甘い野郎なのかもしれない。 「……狡いな、優希は。」 その答えは、肯定だと受け取っておこう。
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