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俺は元々ノンケだったが、いつの間にか男もイケるバイになっていた。
―――今なら引き返せるし、戻れるはずなのに……
俺が求めるモノは、優希先輩の笑顔で。
文句を言いながら怒る顔とか。
―――大倉さんに向ける、あの熱い瞳とか。
そんな、叶うはずもない夢を、希望をいつまでも持ち続ける俺は……きっと馬鹿だなって笑われるんだろう。
いつまでも、俺は……君の面影に縛られているんだ。
だから、いつも好きになるのは優希先輩に似た人で。
―――まぁ、結局優希先輩じゃないって思って振ってしまう……そんな繰り返し。
俺って、こんな女々しい男だったんだなと最近つくづく思う。
そんな事を考えながら、そろそろ帰ろうと準備をしている所に……バタバタと足音が聞こえてきた。
「誰だー?もう、此処締めるぞー…」
「先生っ!」
―――この声は……
「……水城?どうしたんだ?何か忘れ物か…」
「あ、あの……お金、忘れたんです……」
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