君の面影が消えるまで。

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「……悪かった。水城にそんな思いさせた事は謝るし、これからは気を付け…」 「先生、そういうのいらないです。」 せっかく俺が謝ろうとしたところを急に横からバッサリと切り捨てられた。 「なっ……」 「先生、俺に…ご褒美下さい。」 「ご、…ご褒美?」 いつものクールで大人っぽい雰囲気の水城は一体何処へ行ってしまったのかと思うぐらいにグイグイ押してくる水城に、少し戸惑いを感じながらも俺は何とか聞き返した。 「……はい。次の期末テストで俺の苦手な数学で90点以上取れたらご褒美下さい。」 「90!?90って……水城、お前そんなハードル上げて大丈夫なのか?」 他の教科なら……水城は普通に点数を取るらしいが、問題は数学だということ。 水城が数学のテストで一番いい時でも……60点代しか見たことが無い。 「はい。それぐらいしないと……ご褒美になりませんから。」 「あ、…そう、なのか?で……ご褒美は何が欲しいんだ?あんまり高価な物はあげられないぞ。そもそも単なる塾講師が一人の生徒を贔屓するとかも本当はダメだから、あんまり支障が出ない……」
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