君の面影が消えるまで。

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今日も淡々と授業をこなし、1時間の数学は、あっという間に終を迎えた。 「センセー、さよーなら。」 「はいはい、気を付けて帰れよー」 「葉山先生!」 名前を呼ばれる。振り向くと、そこには水城が立っていた。 「ん?どうした?」 「ここ、分からなかったので……教えて下さい。」 「お、いいぞ。」 「あ、そういう事なんですね!分かりました!」 「…お前は相変わらず、理解するのがはぇーよな。」 ―――どんだけ数学が苦手だと言っても……他の教科は90点以上を普通にとれる奴。少し丁寧に教えてあげただけで、すぐに理解してくれる。 「だって、葉山先生の教え方上手ですから。うちの学校の先生より。」 「そっ、そうか?」 ―――そんな事を言われると普通に嬉しい。今までこの仕事をやってきて良かったと実感する瞬間だ。 「じゃあ、葉山先生。さようなら。」 「あぁ、気を付けて帰れよ。」 「あっ、」 「ん?どうした?」 「あの、先生。俺、テスト頑張りますんで!」
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