君の面影が消えるまで。

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「先生っ!」 いつもより弾んだ声。少しだけ上ずった声が……俺を呼んだ。 「おー、水城。お前は?テスト、どうだったんだ?」 ―――何か、聞かなくても分かる感じが……水城の顔を見ただけで分かるけれども。 「葉山先生、俺……」 そう言うと、ガサゴソと鞄を漁って……ファイルから数学の解答用紙を取り出した。 「93点ですよっ!?凄くないですかっ!?」 93、と大きく書かれた隣には、excellentという文字が書かれてある。 「俺、数学科の先生にも褒められたんです。『お前、水城!どうしたんだ!?凄いな!』って。……まぁ、葉山先生のお陰なんですけどね。」 そう言って、ニコッと笑った水城に……少しだけ胸が高鳴った。 「……ありがとう。俺も、嬉しいよ。あ、それと他の教科はどうだったんだ?」 「あぁ、全て90点以上ですよ。……多分、今回はトップ取れそうな気がします。今までは数学が足を引っ張ってトップとか夢のまた夢でしたから。」 ―――単純に、凄いなぁと思った。水城って、凄い奴だったんだなぁと改めて実感した。
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