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「……」
「……」
お互いに、話すことはあるくせに沈黙が生まれてしまった。
「あ、あのっ!先生!」
沈黙を破ったのは水城だった。
「あ、えっ、な、何!?」
「あの、デートのことなんですけど…今週の土曜日でいいですかっ!?」
「あ、土曜日?」
―――随分、早いんだな…。
「は、はい!土曜日の……1時ぐらいでどうですか?」
「あぁ、別に構わないよ。あ、場所は?どうするんだ?」
「えー…駅前でいいですか?」
「あ、分かった。……でもさ、お前、ホントにいいのか?」
「え?何がですか?」
「いや、…せっかく、テストでいい点とったのにこんなもんでさ?」
そう言うと、呆れた様な顔で俺を見つめてきた。
「……だから!何回も言ってるじゃないですか。俺は、先生とのデートの為に頑張ったんです!」
「……俺とのデートに、そんな価値あるのか?」
―――すると、一層強い眼差しで俺のことを見た。
「……俺には、あるんです。」
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