618人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ…じゃあ先生、ありがとうございました。」
「……あぁ、じゃあ土曜日な。」
「…はい。先生……」
「ん?」
「土曜日、楽しみにしてますね。」
―――そう言って笑った水城の顔は……幸せそうで、俺はその笑顔につい、見とれてしまった。
土曜日、12時50分―――。
「あ、いたいた。水城!」
「あっ、先生!」
大きな声で、俺を先生と呼んだ水城は嬉しそうだが……
「……お前さ、休日まで先生って呼ぶの止めろよな。確かに、俺は年上だけどさ……そんな先生って呼ばれる程偉いわけじゃないし…」
「じゃあ、健さん。」
「え?」
「先生って呼んじゃダメなんですよね?じゃあ、健さんって呼ぶしかないじゃないですか。」
「いや、……まぁ、そうなんだけどさ……」
「健さん!ほら、行きましょうよ!」
「え、…あぁ……うん。」
グイグイと引っ張る水城に、何とか付いて行きながらも、何だか妙な恥ずかしさを背負ったまま道を歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!