君の面影が消えるまで。

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「あ…じゃあ先生、ありがとうございました。」 「……あぁ、じゃあ土曜日な。」 「…はい。先生……」 「ん?」 「土曜日、楽しみにしてますね。」 ―――そう言って笑った水城の顔は……幸せそうで、俺はその笑顔につい、見とれてしまった。 土曜日、12時50分―――。 「あ、いたいた。水城!」 「あっ、先生!」 大きな声で、俺を先生と呼んだ水城は嬉しそうだが…… 「……お前さ、休日まで先生って呼ぶの止めろよな。確かに、俺は年上だけどさ……そんな先生って呼ばれる程偉いわけじゃないし…」 「じゃあ、健さん。」 「え?」 「先生って呼んじゃダメなんですよね?じゃあ、健さんって呼ぶしかないじゃないですか。」 「いや、……まぁ、そうなんだけどさ……」 「健さん!ほら、行きましょうよ!」 「え、…あぁ……うん。」 グイグイと引っ張る水城に、何とか付いて行きながらも、何だか妙な恥ずかしさを背負ったまま道を歩いた。
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