君の面影が消えるまで。

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水城に連れてこられたのは、映画館だった。 「俺、これ見たいんですけど……健さんはこういうの、好きですか?」 そう言って水城が指さしたのは、結構有名なアクション系の洋画。 ―――実を言うと、俺も見たかったものであった。 「……それ、俺も見たいと思ってた。」 そう言うと、パッと顔を明るくさせて目をキラキラと輝かせた。 ―――やっぱ、高校生なんだな……。 「ホントですかっ!?嬉しい!じゃあ、見ましょう!」 「あ、俺が出してくるよ。」 「え!?それは大丈夫ですからっ!ってか、俺が無理矢理デートに誘ったんですから、本来なら俺が奢るもんですよね!?」 「おいっ!大きい声でデートとか単語使うな!……つーか、お前のテスト頑張った御褒美だろ?それぐらい、大人の俺に任せとけ。今日は黙って奢られてろ。」 「…………分かりました。」 本当に分かったのか分からないような納得の仕方だったが……普通、そうだろ。高校生に出させる大人が何処に居るんだって話だよ。少しはカッコぐらいつけさせろ!……そう、思った。
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