618人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の瞳は、ある人を捉えて……そこから思考停止してしまった。
「…あれ?どうしたんですか?健さん?」
水城の声は聞こえるけれど……物凄い遠い所から聞こえる。
「……優希、……先輩…。」
―――どうして忘れられないんだろう。
もしかしたら、もう優希先輩に未練なんか無いのかと思ったのに……。
―――どうしてこんなにも……彼が好きなんだろう。
幸せそうに、大倉さんの横を歩く優希先輩に…胸がチクチクと痛む。
立ち止まったままの俺の横を、あと少しで通過する。
二人は、会話に夢中で……こちらに気付く様子も無いっ……
「あれ?もしかして、葉山君?」
―――あぁ、全然変わらない。あの時と全く変わらない声で、俺の名前を呼ぶ。
「優希先輩……大倉さん……、お久し振りです。」
「久し振りだね。元気にしてた?」
「あ、…はい。元気にやってますよ。」
俺の方を敵意剥き出しで見てくる大倉さんに言いたくなる。
別に、話すぐらいいいじゃねーか!
最初のコメントを投稿しよう!