君の面影が消えるまで。

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「バカじゃない…健さんはバカじゃないです。……本気で、人を好きになったらそうなるんだ。」 「水城……。」 「不謹慎かもしれないけれど……俺は今、嬉しいんです。……俺の腕の中に、健さんが居る。考えている人が、例え俺じゃなくても……今、一番健さんの近くに居る人は俺です。」 「……。」 「忘れろ、なんて言いません。早く振り向いて欲しいなんて、思っても言いません。けれど、忘れないで下さい。貴方の一番近くに居るのは……あの人じゃない。……この、俺です。」 すると、俺の体を自分の胸から引き剥がし……俺の頬に手を添えた。 「俺がいます。俺が、健さんを……幸せにしてみせます。…絶対に。」 その瞳は、真っ直ぐに俺を見据えている。 「だから……」 そう言いかけた水城の唇を、俺は塞いだ。 「……えっ!?」 途端に真っ赤になる水城に、思わず顔が緩む。 「俺、確かに……最初の頃は塾講師とか、何となくやってたよ。でも、今はさ……」 『お前が居るから、楽しいよ。』 そう、耳元で囁いた。 ―――真っ赤な顔して俺を見つめる彼を、今度は俺が引っ張っててやろうと思う。 葉山健side fin.
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