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隣で小さな寝息を立てて眠る虹朗。
オレは片肘を付き上体を少し起こす。
虹朗の汗で濡れた前髪を指で掬う。
うっすら目を開け口の端を上げて微笑む虹朗。
お前、熱があるのに、なんでオレを見て微笑んでいるんだ?
無理するなよ。
気を使うなよ。
何でも言えよ。
オレには甘えろよ。
って思って汗で濡れたおでこにキスをした。
虹朗は目を閉じ
(なんだか気持ちいい)って 熱にうなされた様に囁く。
虹朗の頭を抱え込むように抱き寄せ
『好きだ...はやく良くなれ』
いつものちょっと強気な虹朗に、はやく戻れ...心の中で願う。
虹朗のおでこに、頭に何度もキスをした。
このまま ずーっと抱き締めていたいと、
オレの頭が
体が
心が思う。
愛おしくて
愛おしくてそっと唇を合わせた。
虹朗は虚ろな目でオレを見て、
「すぐに治るから...」
心配するなって言って目を瞑る。
そっと 虹朗の胸に手を置く。
心臓の音が掌に伝わる。
今まで何度も何度も思ってきた。
オレは虹朗から離れない。 離れたくない。
虹朗の顔が霞む。
涙が溢れてきて鼻の奥がツーンっと痛くなる。
本当なら 病気じゃなければ
今すぐにでも... オレの手で...指で...
心が壊れてしまいそうなほど愛しい。
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