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虹朗がいる。
風邪が治ってオレのそばに、オレの前に虹朗が居る。
虹朗が居るだけでテンションが上がる単純なオレ。
『今日は図書室行くのか』
「だいぶ 休んじゃったからなー、終わらせないとな」
いつもの様に昼休みの図書室へ向かう虹朗にくっ付いて行く。
誰も居ないと思っていたのにドアを開けると背の高い男子生徒の後ろ姿が目にはいる。
ドアを開ける音で振り返ったのは副会長の北川さんだった。
顔を見て 思わず舌打ちしそうになるのをグッと抑えた。
けど、 顔に出たかもしれない。
それに気づいたのか?
気が付かないのか? 副会長はオレを見て、
「会長に言われて来たんだけど...休んでたんだって」って言った。
*
『はい。風邪で』って言うと虹朗が答えた。
さっき 来た2年生に聞いたよって、
ニカって笑う副会長。
「会長が...」って言って、次の言葉を待つ。
「悪いんだけど今週中に、こっちを終わらせて欲しいと」
副会長がすまなさそうに言う。
『解りましたと伝えてください...じゃ作業に入るんで、 失礼します』
言って奥に行こうとするオレの腕を掴んだ。
掴まれた腕に視線を移した瞬間、
涼が副会長の手を払い オレたちの間に割って入る。
涼の顔を見た。
「なんですか。 虹朗になにか?」って
口元は微笑んでいたが..目は全く笑ってなく副会長を睨む涼。
副会長は「お前。役員だっけ?」って、
少し上から涼を見据えた。
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