文化祭

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オレは涼にすぐだから廊下で待っててって言って生徒会室へ入った。 室内には文化祭の準備のために副会長が残って作業をしていた。 予算表を手渡し すぐに生徒会室を出ようとドアの方へ歩き出すと 後ろから 「お前。森川と出来てんの?」 その声にオレは振り返り副会長を見た。 『 ...はぁ』 「意味解るよな...見たんだよ」 『 ・・・ 』 「この間 図書室で森川とキスしてただろ あれ...どう見ても  悪ふざけって感じじゃ無かったよな」 『 ・・・ 』 オレは何も言わずに聞いていた。 「これバレたら問題だよな。 お前は優等生だからなんとか、なるかもしれないけど 森川はどうかな!? 停学にならないまでも...みんなからどんな目で見られるんだろうな」 って口角を上げて冷たく笑う。 「生徒委員長の彼氏...なんてバレたら大変な事になりそうだな」 副会長のその目は笑ってなかった。 『 ...何が言いたいんだ』 オレは廊下にいる涼の事を思う。 いつもコロコロ変わる表情。 笑ってみたり。 口を尖らせ拗ねてみたり。 ちょっと赤い顔をして怒ってみたり。 オレだけを好きでいろって自信満々で言う、 そんな事を思い出す。 「オレがお前を好きな事 気づいてるんだろ、彼氏にしろなんて 言わないよ...たまにオレにもキスさせてくれよ...」  副会長はそう言ってまた片方の口角を上げた。 舌打ちが出そうになる。 『 ・・・ 』 オレは涼が大事だ。 付き合う前 いつもオレを目で追ってた涼。 どこに居ても涼の視線を感じてた、ある日 『お前 オレの事 好きだったりして』ってふざけると 涼は 「好きだけど、だめなの」って、 オレは、これからもずーっと涼と一緒に居たい。 涼の停学も皆から冷たい視線を向けられる涼も嫌だ! その為には・・・  オレは男だ。  愛情の無いキスだって 出来なくは無い... けど。 オレは副会長を睨む。 「...バレたら困るだろ。 なー」って副会長が抱き寄せる。 こんな事したら涼が傷つく。 そう思った瞬間、 ・・・いきなり生徒会室のドアが勢いよく開いた。
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