文化祭

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大きな音に勢いよく振り返るオレ。 バランスを崩し倒れそうになるのを副会長が支えた。 オレはバランスを崩しながらも一瞬、涼の顔に視線を向ける。 ハッと目を見開き オレが崩れそうになるのを凝視し... 見られたく無かったオレは怒鳴ってた。 (待ってろ)って言っただろ....って。 次の瞬間、涼は生徒会室を飛び出して行った。 (あ、) オレは一瞬  (まずい)って思って、 まさか、 オレを置いて行くなんて思って無かったオレは動きが一瞬遅れた。  体制を戻し副会長の腕を払い除け涼を追った。 教室に駆け込み涼の机を見る。 鞄が置いたままになっていた。 オレは涼の椅子に座り  大きな溜息を吐き、頭を抱え込み突っ伏す。 なんだか、胸が痛い.. 喪失感半端ない...項垂れそうになる。 でも...こうしてても仕方が無い。 待ってても戻って来そうに無い。 涼の鞄と自分の鞄を手にし教室の電気を消して出た。 ポケットから携帯を取り出し 画面に指を滑らせ通話履歴から涼の名前をタップする。 呼び出し音が何度も何度も聞こえ、やがてガイダンスが流れ切れる。 溜息が出た。 オレからの電話に出なかった事は無い。 バス停のベンチに座る。 何台目かのバスが通り過ぎた頃、ポケットの携帯が振るえた。 慌てて取り出し画面を見ると涼からの電話だった。 通話をタップし耳に当てる 「 ・・・ 」 何も言わない。 『...涼。 今どこに居るんだ』 間を置いて答える涼。 「 ..... 桜ヶ丘公園 」 それはオレんちの近くの公園。 すぐに行くからって伝え電話を切りバスに乗る。 バスに揺られている間も考える。 涼になんて説明するべきか...答えが見つからないままバスを降りた。  坂を上がると公園がある。 公園の入り口から園内を見るとベンチに座り両足に肘を乗せて俯いている涼が居た。 ベンチの前に立ち ゆっくり息を吐き。 ふたりの鞄を端に重ねて置き、涼の隣に座るオレ。 「 ・・・ 」 オレは声を掛けた。 『...涼。』 涼は俯いたまま 「北川には気をつけろって言ったろ なんで北川に抱き締められて抵抗しなかったんだ」って、 立っていたオレを見上げて聞いた。 目を真っ赤にした涼と目が合う。 泣いたのか?
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