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オレを無言で見詰める。
『...涼 ごめん』
「 ・・・ 」
胸が痛んだ。
真っ赤にした目を見て胸がギューって締め付けられた。
うまく誤魔化せない気がした。
それでも誤魔化す言葉をフル回転させ探す。
「...な、 バレたら困る...とか、北川に言われてたろ 」
俯きながら、たまにチラリとオレを見て話す、
「何の事を言われてたんだ、
な、オレには言えないのか 言えない事があるのか?」
ほんとーの事を言えば、お前の事だから
みんなからどんな事を言われようと何をされようと
大丈夫って言って自分が前に出てオレを守ろうとするんだろ...
オレはお前の事が好きだ。
オレの事よりお前の事を1番に考えたいんだ。
お前のためならヤな事だって我慢できる。
涼...オレの考え方 違うかな?
『 大した事じゃないんだ。 生徒会の話だ 』
ドキドキしながら嘘をつく。
『クラスのお化け屋敷の予算、計上通り出しても足りないと困るっと思って
少し水増しして提出したんだ...』
『余れば返せばいいと思ってね。でもさすが副会長..すぐにバレちゃった』
オレはおどけて言った。
「 ・・・ 」
涼は黙って俯き聞いている。
オレは怖くて指が微かに震えているのを隠す。
心臓のドキドキが隣の涼に聞こえるんじゃないかと、
俯きたいのを堪え涼をしっかり見つめて話す。
何も言ってくれない事が更にオレを不安にさせた。
「 抱き締められてなんで、すぐに逃げなかったんだ
廊下に居ただろ なんで、すぐにオレを呼ばなかったんだ 」
オレは俯いてしまった。
「ごめん、びっくりして声も出せなかったし動けなかった」
今のオレの精一杯の嘘。
これ以上 聞かれても もう誤魔化せない...
涙が出た。
自分が情けなくて涙が出た。
涼が立ち上がり オレの前に立つ。
オレの頭を自分の腹に付け両手で抱え込んだ。
「もういいよ虹朗...置き去りにしてごめん、
オレ情けなくなって、そばに居ながら何も出来なかった事が情けなくて...
オレが悪かったんだ、泣くな」
オレの言った事がほんとーの事だなんて思っていないはずなのに
それでも涼は、それ以上聞いてこなかった。
オレは涼とずーっと一緒に居たいんだ。
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