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文化祭を2日後に控え校内が浮き足立つ。
涼はあの日の事を口にはしないけど
校内でのオレへの密着度は増し
許される限り...いつも目の届く所に居る。
生徒会室での会議や文化祭のミーティングの時などは
必ず付いてきて 森川ここに居ます的に存在感を醸し出す。
かなり心配を掛けているんだろーと思うと情けない。
副会長も、あれ以来 何も仕掛けてこないのが不気味だ。
このまま やり過ごしてくれる事を願うだけだ。
文化祭当日までの2日間は授業もなく
教室をお化け屋敷に変えていく。
男子は力仕事や高い所の作業をする。
窓に暗幕を掛け外の光りが入り込まないようにし
パーティションと机を使って教室に通路を作り天井から暗幕を垂らして回りを見えない様にしたり
結構、手の掛かる作業が多かった。
女子はお化けに扮する男子の衣装や化粧品を集めたり小道具を作ったりしていた。
オレは作業の合間をぬい
生徒会の仕事として他のクラスの進み具合などをチェックしに行く。
涼が横を歩き、
「うちのクラス間に合うか?」
『...どうかな、ギリギリかな..でも無理なら届けを出せば徹夜も許可されるから心配ないと思う』
「 徹夜か、なんかワクワクするな 」って涼がちょっと嬉しそうだった。
『最悪、間に合わない時だけだからな』ってオレ。
前日、結局出来上がらず会長の印を貰い学年主任の先生に許可を貰う。
男子5名の許可が下りた。
オレと涼と佐々木に、
力のある運動部の大和と野田のふたりが残ってくれた。
作業途中 窓から他の校舎を見るとポツン、ポツンと電気の点いた教室がある。
窓ガラスに見える人影、徹夜しているクラスがいくつもあるのが分かった。
7時頃になり 腹も減り中断して5人でコンビニに行く。
弁当を買って来て教室の床に座り食べた。
休憩後 また夢中で作業をしていると
背後に人の気配を感じて振り返る。
そこに薄笑いで立っていた副会長を見て体がビクンと飛び跳ねた。
同時に左腕を掴まれ、ハッとして見上げると
いつの間にか隣にきていた涼がオレの腕を掴んだまま
恐い顔をして副会長を睨んでいた。
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