第一章 人の運命なんて所詮は金次第らしいです。

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『え、えー……それでは一億ファルで、落札……ということで』 「一億二千万ファルでどう!?」 再び先程の仮面の女性が額を上げた。そんなに僕を落札したいのだろうか。二人の女性の間に挟まれているというのは男冥利に尽きるが、明らかに二人とも悪魔の類いなので全然嬉しくない。観客達は、固唾を飲んでもう一人の女性の動向を窺う。 「一億五千万」 『い……一億五千万!?』 司会者すら驚いている。一億五千万と言ったら、失われた星々の品々(ロストギャラクシア)の一つくらい軽く買える額だ。 仮面の女性は悔しそうに下唇を噛み締めていた。それがこの勝負の結論を指し示していた。 『それでは、一億五千万ファルで落札です!』 僕を入れた檻がステージから女性の元へと運ばれていく。もうこれからのことなどどうでもよかった。痛くなければ嬉しいな。苦しみがあるなら死ねればいいな。いざというときには舌を噛みきる決意を固めて、ゆっくりと瞬きした。 「それでは魔王様、これを城まで運べば宜しいですか?」 ……魔王? 女性の側近らしき男が使ったその言葉に反応してしまう。 「ちょっと待て。その前にここを開けろ」 「分かりました、どうぞ」
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