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殺されるという状況下なのに、落ち着き払っているように見える。
「そうなの? だったらわたしも休めばよかった」
桃香は顔を引きつらせた。
「お前だけ逃げようってのかよ」
髪の毛を短く借り上げた奥居奎太が桃香を睨んだ。
彼が野球部に入っていることは知っている。
「そんなつもりじゃ。でも、休んだ子たちのほうが責められるべきでしょう。それなら、奥居君だって休めばよかったじゃない」
「部活があるのにそうそう休めるかよ」
彼は吐き捨てるように口にした。
それからぽつぽつとクラスメイトがやってきたが、結局クラスの半分ほどしかクラスメイトが来なかった。そして、ホームルームの開始の鐘が鳴り響いた。
また、彼女は来るのだろうか。
そう思ったとき、教室の扉が開き、彼女が現れた。
彼女はゆったりとした足取りで教室の中に入ってくると、クラス内を一瞥した。
「やけに今日は欠席者が多いわね」
彼女はそうしらじらしい口調で口にした。
彼女は口角をあげて微笑んだ。
「いいことを思いついちゃった」
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