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「そもそも何で、俺たちがこんな目にあわないといけないんだよ」
岡本君の声に誰も反応できなかった。
誰も何もわかっていないのだ。
田元君は顎に手を当て、眉根を寄せた。
「誰かあの子に見覚えがあるやつはいないのか?」
田元君の問いかけには誰も答えない。いや、答えられないのだ。
少なくともわたしはあの子のことを知らないのだ。
「警察が捕まえてくれるのを待つしかないんじゃないの?」
そう言った本仮屋さんが小さな声をあげた。
わたしもそこであることに気付いたのだ。
「毎日彼女がここにくるなら、警察に待機してもらえばいいんじゃないの? そうしたら、あの子のことを他の人も信じてくれるはず」
その彼女の言葉にクラス中の人間が同意していた。
「でも、警察の人は信じてくれてなかったよな。昨日、あの話をしても首を傾げるばかりで」
「だったら、先生に頼んでもらえばいいんじゃね?」
田元君の言葉にクラスの大半が頷いていた。
「じゃあ、俺が行くよ。他にも誰か来てほしいんだけど」
クラスメイトは顔を見合わせた。だが、誰も手を挙げる人はいなかった。
わたしもなんとなく気が進まなかったので、彼女たちの気持ちは何となくわかる。
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