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叫び声、罵倒する声、意味の分からない声。
そんな状況で、わたしは凍り付き、意味が分からずに彼女を見据えていた。
田辺君はその場で身動き一つしなかった。その代りのように、生臭い匂いが鼻先をついた。
「まずは一人ね。わたしに許可なく外に飛び出そうとしたら殺すわ」
彼女はそうにっこりとほほ笑んだ。
人を殺したことに対する罪悪感を微塵も感じない笑顔で。
彼女のただならぬ様子を感じたのか、教室が一気に静まり返る。
わたしの心臓の動機が急に加速しだした。
何が起きているのか全く分からなかった。
彼女が入ってきて、彼女を可愛いといった田辺君が急に死んだ。
そもそも彼女がどうやって田辺君を殺したのだろう。
彼女が言葉を発した直後、彼の腹部から血が噴き出したように見えた。
その手にはナイフも何もない。彼を傷つけるような凶器はどこにも見当たらない。
「いい子たちね。頭は悪そうだけど、想像よりはましだったわけだ。これからあなたたちを一日一人ずつ殺してあげる。あなたたちの中では最大一か月も長生きできる人たちがいるのね。その人はとてもラッキーな存在ね」
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